歯の痛み

歯の痛みの原因

歯が原因である場合

 代表的なものとして虫歯や知覚過敏、歯の破折があります。ご存知の方も多いとは思いますが、虫歯は口の中にいる細菌が引き起こす病気です。ここで間違えやすいのが「細菌が歯を破壊して痛みを生じる」のではなく「細菌が産生した酸によって歯が溶けて痛くなる」のです。歯の表面にはエナメル質という非常に硬い組織がコーティングされていて、その下に象牙質というエナメル質よりも柔らかい組織が存在しています。この象牙質の層まで虫歯が進むと特に痛みが生じてきます。

知覚過敏は酸っぱい食べ物やワインなどの酸性の飲食物を多く摂取することや加齢による歯茎の退縮、歯科医院での歯石の除去のあとなど様々な原因により象牙質が表面に出てきてしまうことで起こります。露出した象牙質はちょっとした刺激でも象牙質の奥にある神経に伝わりやすく、ズキンと強い痛みを感じます。

 歯の破折は外傷や噛む力が強い場合などで歯が割れ、その隙間から細菌が入ることで炎症が起きます。この場合歯を残すことは難しく抜歯しなければならないことがあります。またレントゲンを撮っても割れ目が分かりにくいと知覚過敏と誤診しやすいです。

歯ぐきが原因である場合

代表的なものとして歯周病や親知らずが原因の炎症があります。

歯周病は歯茎のみに炎症が起こる歯肉炎と、さらに病態が進行して歯茎の下の歯槽骨まで炎症が広がった歯周炎の2つをまとめたものです。日本人は40代以上で有病率が高く、歯を失う原因にもなります。喫煙や糖尿病、ストレスなどが歯周病のリスクを高めるといわれていて歯と歯茎の間の隙間が深くなっていきます。

 親知らずは生えている状態にもよりますが、歯茎に埋もれていて清掃が十分に行えず不潔になりがちです。細菌が溜まり炎症が起こると歯茎が腫れたり痛くなってしまいます。

「歯周病について詳しく知る」「親知らずについて詳しく知る」

咬合力が原因である場合

 食いしばり、歯ぎしりによって、歯に負荷がかかると、歯の根っこにある歯根膜が炎症を起こし、痛みにつながります。また、歯に無理な力がかかることで、歯に亀裂が入り、破折が起こるだけでなく、神経が死んでしまうことで知覚過敏につながったり、亀裂部から細菌が侵入することで、痛みが生じます。

歯・歯ぐき以外が原因である場合

歯が原因でない場合は様々な可能性があり、治療法も異なります。たとえばあごの筋肉痛や神経が原因の場合や、精神的な問題から起きることもあります。さらに心筋梗塞に関連して歯の痛みが生じるとも報告されているため、早急な対応が必要となります。

歯の痛みにはさまざまな原因が考えられますが、歯や歯ぐきに関連するものを予防するには日々の歯磨きや生活習慣の改善が重要です。また、口の中の痛みや違和感は意外と原因となっている場所がわかりにくく、また歯が原因でない歯痛もあるため、自分で判断をつけることは避けましょう。異常を感じたらまず歯科医院に受診することを強くおすすめします。