知覚過敏

知覚過敏とは?

知覚過敏は、歯ブラシの毛先や冷たいものなどが歯に触れた時に歯に感じるピリッとした一過性の痛みのことを意味します。

知覚過敏の症状は、本来は「エナメル質」という硬組織に覆われている「象牙質」という歯の内側の組織が外部に露出した場合に現れることが多いです。その症状には温度刺激・乾燥などの刺激が加えられることにより発生する一過性の痛みが多く、いずれも患者さんの感じ方に依存する疾患となっているので、その病態は曖昧なものとなっています。

罹患率は40〜50%、生涯罹患率は80%という報告もあり、歯科の治療現場でも比較的遭遇する珍しくない疾患と言えます。

歯の断面図

外側からエナメル質・象牙質・歯髄腔となっています。
象牙質の部位まで外部の刺激が加わるようになると知覚過敏が起きます。

知覚過敏はどうして痛いのでしょう?

象牙質には、「象牙細管」と呼ばれる象牙質内に栄養を行き渡らせている管が無数に存在しています。この管は歯の表面側では普段は閉鎖しています。しかし、摩耗などのなんらかの原因によりこの象牙細管が露出した状態になってしまうと、普段の食事でも熱いものや冷たいものが触れた時刺激が露出した象牙細管から伝わり、痛みが誘発されます。この痛みは、虫歯でも起こる症状であるために、虫歯との見分けがつきにくいという特徴があります。虫歯に由来するものかどうかの見極めには、歯科医師の診察を受ける必要があります。

知覚過敏の治療

歯科現場で行う治療には、露出している象牙細管に蓋を閉めるための薬剤を塗布することによる歯面のコーティングがあります。使用される薬剤には、知覚過敏に有効性のあるフッ化物が配合されたものが多いです。また、痛みを感じる神経の反応を鈍くすることで痛みを感じにくくする治療も行う場合があります。

また、予防的な処置として普段の歯磨きから、露出した象牙質をカバーする薬効成分(硝酸カリウムなど)が含まれている歯磨き粉の使用をお勧めする場合もあります。

知覚過敏にならないためには?

知覚過敏にならないためには、歯の内部の象牙質を傷つけるようなことをしないことが重要です。具体的には、

・歯ぎしり
・過度なブラッシング
・ホワイトニングの副作用
・口呼吸による口腔乾燥 などがあります。

院長コメント

かみ合わせの悪さも知覚過敏の原因の一つです。早期に咬合調整等を行うことで、知覚過敏の予防を行うことも可能です。かみ合わせが気になる場合には、一度ご相談ください。

歯ぎしりは、歯を覆うエナメル質に直接ダメージを与えてしまいます。