内容監修
福永 里沙
RISA FUKUNAGA
福永 里沙
RISA FUKUNAGA
歯科医師
臨床研修修了後、日本歯科大学総合診療科にて一般診療に従事。より臨床の場で多くの患者さんの診療をするために、都内の口腔外科、矯正歯科、審美歯科で研鑽を積み、ジェネラリストとしての技能を習得。あらゆる年齢層、症例に対応できる診療の幅広さを強みとする。一歯単位の治療ではなく、一口腔単位の治療から全身の健康へつなげるような歯科医療の提供を理念に掲げ、デンタルクリニックTENを開業
歯周病とは
歯周病とは、はぐき(歯肉)におこる炎症が原因となってはぐきが腫れて退縮し、最終的に歯の周囲で歯を支えている骨が溶け、歯が抜け落ちてしまう病気です。一般的に使われ、広く知られている「歯槽膿漏」という言葉もこの歯周病の状態のことを指します。
統計によると、歯周病は日本人の約4割が持っているといわれていますが、日々患者さんを診療していて、実際には30代以降の方では60~70%の方が歯周病ないしはその予備軍にあたると感じます。また、日本人が歯を失った理由として最もおおいのも、この歯周病です。
歯周病は痛みがなく進行し、完治することがない病気です。患者様の日々のご生活の中での適切な清掃(歯磨き)と、私たち歯科医師、歯科衛生士による定期的なメンテナンスと治療の2つが必要不可欠です。
本院では3~6カ月ごとの定期的なメンテナンスによる歯周病の状態のチェックをおすすめしております。
歯周病の原因
歯周病の原因は主に3つに分けられます。
1.細菌
口の中には健康な人であっても多くの細菌がおり、歯の表面に細菌が集まり(プラーク)、口の健康にとって有害な物質を生成し、それが細菌と混ざったもの(バイオフィルム)を作ります。
その中の歯周病の原因となる細菌が歯周病発症の原因の1つになります。
歯周病の原因となる細菌を完全に除去することはできませんので、この細菌と細菌がつくる有害な物質の量をコントロールすることが大切です。
2.患者様ご自身の特性
歯周病のなりやすさには、遺伝的な要素や全身の状態も関係します。
プラークやバイオフィルムのできやすさ、唾液量、歯石の有無、口腔の清掃状態、清掃方法などの口の中の健康と直接関わるものに加えて、
免疫機能の強さ、性別、糖尿病などの生活習慣病や全身疾患などの口の中の健康と間接的にかかわる部分も歯周病に影響を与えます。
口の中と直接かかわる部分については、口の中のプロフェッショナルである私たち歯科医師、歯科衛生士が患者様の口の中の健康の維持・向上をお助けします。
また、口の中と間接的に関わる部分に関しましても、本院では併設の医科診療所との連携が可能です。
3.環境
3つ目として、喫煙、ストレス、食習慣などの歯周病に大きく影響を与えます。
本院では、食習慣や栄養指導から禁煙指導、睡眠のご相談まで幅広くご対応可能です。
全身への影響
歯周病は、患者様の免疫力の強さ、メタボリックシンドローム、リウマチ、糖尿病と相互に影響を与え合います。歯周病は骨粗鬆症、慢性の腎臓病、心疾患、誤嚥性肺炎、脳梗塞との関連が指摘さてています。特に、ご妊娠されている方には早産や低出生体重のリスクとなり、全身への影響が多岐にわたることが現在までの研究により明らかにされています。我々は医師・歯科医師が連携して歯周病に向き合うことの必要性を感じています。
最近の歯周再生治療
歯周病が著しく進行し、通常の歯科医院でのメンテナンス・歯周病の治療で改善が難しいと判断した場合、歯周再生治療という外科治療が必要となる場合があります。
本院では、リグロス(2019年より保険適応)という歯周病により失われてしまった組織の再生を促進する薬を用いて治療を行います。また、失われてしまった骨などが多い場合、人工骨(自費診療)を追加し歯の周りの組織の回復を助ける治療を行うこともできます。
なぜ歯周病の治療が必要なのか。
歯周病は、知らないうちに病気が進み、痛みもないため自覚症状がなく、治療が遅れてしまうことが多い病気です。痛みはありませんが、病気が進んだ結果歯を失ってしまう危険な病気でもあります。
30代ごろから定期的なメンテナンスと歯周病予防・治療を続けることで、将来にわたり患者様自身の歯を長く使い続けることができます。
そのために、歯周病治療は必要なのです。
当院の特色
当院では、糖尿病などの生活習慣病、全身疾患と深く関わる歯周病に対して、当歯科医院と併設の医科診療所の相互の協力のもと全身の健康管理を行い、口の状態だけではなく、全身の状態を一人一人考えながら、治療を進めていきます。